30年の時を超えて子供に読み聴かせた、思い出の絵本
我が家では、子供の読書をとても大切にしている。
大切にしすぎて大変なことになったと言う話は以前ここでも紹介した。
読み聞かせ
特に物心つく前からの読み聴かせは、夫婦ともども頑張ったと思う。
寝る前はもちろん、読んでと言われたらよほど時間がないとき以外は読んであげた。
読書はいい。
言葉を覚えるのにもいいし、情操教育にもいい影響を与える。
今までたくさん読んできた中で、年代別のおすすめは以下の通り。
- 0歳~:じゃあじゃあびりびり
- 1歳~:だるまさんシリーズ、きんぎょがにげた
- 2歳~:ぐりとぐらシリーズ、こぐまちゃんシリーズ
ここまで読んで「そんなの知ってるよ」と思われる方が大多数かと思う。
どれも超がつくほど有名な絵本だ。
いまさら紹介するほどでもない。
今日、僕が書きたいと思ったのはそんな話ではない。
思い出の絵本
ある一冊の絵本が、不思議とずっと記憶に残っている。
「チャイブスとりんごパンマシーン」という作品をご存知だろうか。
僕が幼稚園に入るころ、今は亡き母が買ってきてくれた絵本だ。
子供向けの絵本というと、ビビッドな色合いでメリハリのある絵柄のものが多い。
当時からいろんな種類があっただろうが、少なくとも我が家にはそんな本ばかりだった。
そんな中、突然母が買ってきたこの絵本は、柔らかなタッチで描かれたとても優しい雰囲気だった。
話の内容は、くまのチャイブスが森でひろった不思議な機械が実はりんごパンを作るマシーンで、友達のチャービルと材料を集めて村中に美味しいりんごパンをばら蒔く、というもの。
柔らかな絵のタッチと不思議なおはなしに、僕はすっかり夢中になったのを覚えている。絵のタッチ同様、優しい声で読み聴かせてくれた母を思い出す。
親になって
それから25年。30歳になる直前に僕も親になった。
最初は女の子、その6年後に男の子が生まれた。
上の子が3~4歳になった頃、僕はネット通販を探し回ってあの「チャイブスとりんごパンマシーン」を見つけ出した。
30年ぶりの再会。
絵本の内容はほぼ全て覚えていた。
初版の発行は1987年とある。
あの当時、母は僕に新作の絵本を与えてくれていたらしい。
30年経って初めて知った。
残念ながら今日この記事を書いている時点では、Amazonにもどこにも売ってなさそう。
かろうじてどこかの図書館には何冊かあるようだ。
調べてもレビューらしきものは出てこない。
僕の心のベストセラーは、世間的にはあまり人気がなかったようだ。
子供達にも読んであげた。
気に入ってくれたようだが、1番好きにはなれなかったようだ。
親の心子知らず。
だが、それでいい。
娘には娘の、息子には息子の心のベストセラーが見つかるよう、たくさんの本を読んであげたい。
何十年経っても忘れない絵本と共にあった家族の思い出を大切にしてくれる、そんな子供に育ってほしいと心から願うばかりだ。