僕は転勤族です。僕の父も転勤族でしたが、東京で暮らした時期が長かったので、僕は基本的にいわゆる「標準語」をしゃべります。
会社に入って初めは福岡の営業所に配属されて、当時は熊本県全域を担当していました。そこで困ったのが「方言」。熊本の人は当然ですが熊本弁をしゃべります。語尾が「~だけん」とか「~ばい」ってやつですね。博多弁と共通するところが多い方言です。
たいていの熊本弁、特に熊本市内に住んでいる若い世代の人の熊本弁はわりと聞き取れるし、意味も分かります。だけど一番困ったのが熊本でもより人口の少ない町の、比較的高齢の人の話し言葉。方言がキツくて初めて聞いたときは半分くらいしか理解できませんでした。
ある時、熊本市から離れた八代市という所にある得意先の部長さん(50才過ぎ)に新製品の紹介をしに行ったときのことです。当時「アロエ」を使った商品を紹介しに行ったのですが、説明の後に「~~~シトラスですか?」と聞かれたんです。ん?シトラス?別にシトラスなんか使ってないし、急に何言ってんだ?と思ってかなり困惑しました。「シトラスは使ってませんよ?」と言うと、その部長さんはゲラゲラ笑い出しました。
正確には「~~しとらすとですか?」
標準語で言うならば「~~しているんですか?」という意味。初対面で緊張していた上に初めて聞いた熊本弁だったので完全に勘違いしていました。
僕の妻も熊本出身です。仕事関係で知り合いました。当然妻も熊本弁をしゃべりますが、特に娘が生まれてからは標準語を使うように心がけているようです。だけど、怒ったりするときはバリバリの熊本弁が出ます(笑)
「そぎゃんこつせんちゃよか!」(そんなことしなくていいの!)
「ちゃんとご飯ば食べなっせ!」(ちゃんとご飯を食べなさい)
「だけん言いよろうがー!」(だから言ったでしょうが!)
などなど。知り合ってから5年、結婚して3年経ちますが、未だに3カ月にいっぺんくらい、知らない方言が出てきます(笑)
正月に妻の実家に行った時も、妻のおばあちゃんとの会話は半分くらい理解できません(´Д`;
そして今は大阪に転勤し、兵庫・大阪・和歌山を担当しています。大阪というと漫才などで聞く「関西弁」を思い浮かべるかもしれませんが、これもまた地方によって微妙に異なります。
和歌山には「和歌山弁」があり、たとえば「来られないの?」という言葉を大阪弁なら「来れへんの?」というところを、和歌山弁では「これやんの?」と言います。
なので電話口で「今日(うちの事務所に)来られないの?」という意味で「今日これやんの?」と聞かれるわけです。初めて聞いたとき「今日はこれをやるの?」と言っていると思い、「これ?何をやるんですか?」なんてトンチンカンな返答をしてしまったこともあります。
こんな風に、全国転勤の可能性がある転勤族は、その土地その土地の言葉に慣れるのにちょっとした苦労があります。それもまた楽しいんですけどね。
それに、知らず知らずのうちに僕自身の言葉も「そっち寄り」になっていくんですよ。普段は全く気付かないんですけど、たまに地元(東京)に帰って友達に会うと、「ヨウスケ、なんかイントネーションが変だぞ」と笑われます。そりゃそうだ、住んでいるところは大阪、仕事は和歌山で、家に帰れば熊本弁の妻。いろんな言葉が混じるのはしかたないわな(笑)
そろそろ異動の時期です。次はどこの方言を聞くことになるのかな?

転勤になったら読む本―新生活をスムーズにスタートさせる実践アドバイス (3分間で1ヒント)
- 作者: 桜井武治
- 出版社/メーカー: 実務教育出版
- 発売日: 1998/02
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (1件) を見る