【お酒】下戸のくせに2軒目は必ず「ギムレット」をたのむワケ
僕は下戸のくせに、2軒目にバーに行ったときは必ずギムレットを頼む。
◆ギムレットというお酒
カクテル好きの人なら必ず知っているであろう、定番のカクテル。
ジンとライムジュースをシェイクして作るとてもシンプルなショートカクテル。
同じ材料をシェイクせずに氷を入れたグラスに注ぐと「ジン・ライム」になる。
アルコール度数は29-35度と高め。
◆下戸のくせに
アルコール度数が5~7度のビールで真っ赤っかになる僕がなぜそんな強い酒を頼むか。
正直僕もよくわからない。なんとなく知ってる名前で味が好きだからか。
普段全く酒を飲まないので、酒の種類なんてほぼわからない。
知ってるのは他にソルティードックとカシスオレンジとスクリュードライバーくらい。
あと、なんか名前がかっこいい。
「ギムレット」
名前からはどんな酒か想像できない、そこはかとなく神秘的な名前。
シンプルでありながら謎めいたネーミングの中に、ちょっとダンディーな響き。
あくまで僕のイメージ。
それに、僕のほかにギムレットを頼んでいる人を見たことがない。
あまり飲み会に参加しないからかもしれないけど。
酒にはめっぽう弱いので、文字通り舐めるようにちびちび飲む。
もちろんチェイサーにお冷をがぶがぶ飲むのでダンディーさのかけらもない。
◆いつしかそれがアイデンティティに
周りの人らは僕が2軒目で必ずギムレットを頼むたびに笑う。
「うそでしょ」
「無理すんな」
「またそれか」
「死ぬぞ」
僕の2軒目の酒=ギムレットがいつの間にか周知のこととなった。
飲めないくせに、ギムレットが僕のアイデンティティの一部になった。
席に着くなり、「ヨウスケはギムレットだろ?」と言われることも増えた。
注文する手間が省けたので、僕が注文するのはお冷だけになった。
◆意外な広がり
最後に、以前ギムレットについて少し調べたときに、ある小説の名前が目に飛び込んできた。
レイモンド・チャンドラー著「長いお別れ(or ロング・グッドバイ)」。
この小説の中に有名なセリフで
「ギムレットには早すぎる」
というものがある。
レイモンド・チャンドラーはアメリカのハードボイルド探偵小説に多大な影響を与えたといわれている人物で、日本人ではかの有名な村上春樹氏も影響を受けた一人とされる。
上述の小説もけっこうな長編のハードボイルド物で、つい先日読み終わった。
なかなか面白い作品だった。
まさか下戸の自分が酒つながりで70年近く前に書かれたハードボイルド小説を読むことになろうとは思わなかった。
これも奇縁という奴だろうか。
そんな不思議な出会いに、乾杯(お冷)。