娘が合唱団に入りたいと言ってきた。僕は時の流れの早さを実感した。
小学校3年生の娘が、合唱団に入りたいと言ってきた。
◆娘の習いごと
先日、妻と娘が二人で合唱団の見学に行って、いたくやる気になったそうだ。
区が主催している少年少女合唱団で、月額4,000円。
その他に楽譜代や合宿(?)の積み立てでさらに年20,000円くらいかかる模様。
値段の割にしっかりと指導をしてくれる本格的な合唱団らしい。
日曜日の朝、娘がYoutubeにアップされているその合唱団の動画を見せてくれた。
当たり前だけど、とても素晴らしい。
日頃アニメソングやYOASOBIなんかを踊りながら歌っている娘が
こんな風に歌う姿がなかなか想像できないが、試しに通わせてみることにした。
◆記憶の扉が開く
Youtubeにアップされた合唱団の動画の関連動画の中に、
僕が中学生のころに音楽の授業で歌っていた合唱曲の中でも
一番大好きだった「マイバラード」という曲があった。
最近の中学生も歌っているのかどうかは知らないけど、
30~40代の人はご存じの方も多いのではないだろうか。
おそらく十数年ぶりにこの曲を聞いて、僕の記憶の扉が一気に開いた。
中学校の音楽室。
その音楽室から見える校庭と、別棟の武道場とプール。
音楽の太田先生は超怖い女の先生だったこと。
担任のあだ名が「トクティー」だったこと。
理科の細川先生に「ポイ」というあだ名をつけられていたこと。
理由は思い出せない。
一度、音楽の授業中に歌いながら頭がフラフラし始めて、
授業が終わって保健室に行ったら38度の熱が出ていて早退したこと。
声変わり絶頂期で、パートはバスだったこと。
好きだった女子の顔と名前。
これらすべてが25年も前の思い出だということに、少し恐怖した。
こんなにありありと思い出せるのに、四半世紀も前の出来事だって?!
◆風景の明度
「マイバラード」だけではない。
関連動画で出てきた「旅立ちの日に」「翼をください」。
どれも好きな曲だった。
聴けば、やはりあの頃を思い出す。
不思議なほど当時の映像が頭の中に浮かんでいる。
あのころ見えていた風景は、明らかに明度と彩度が高く、
今、自分が見ている風景よりもクリアに映っていたように思う。
この感情を的確に表現できないのは非常にもどかしい。
陳腐な言い方しか思いつかないが、毎日が今より美しく感じた。
あの頃はあって、今はもう少ないか、なくしてしまった希望のようなものが
目に映る景色をそう感じさせていたのかもしれない。
あの頃の感情までをリアルに思い出せるのが逆につらくなる。
これが「大人になる」ということなのかもしれないが、
数十年前の思い出と今を比較して、ずいぶんと時が流れてしまったことを実感する。
◆思えば遠くへ来たもんだ
僕よりも上の世代の曲に、海援隊の「思えば遠くへ来たもんだ」という曲がある。
古い曲とは言え結構好きなのだが、2番のサビにこんな歌詞がある。
思えば遠くへ来たもんだ
今では女房子供持ち
思えば遠くへ来たもんだ
あの頃恋しく思い出す
娘はあと数年で、「マイバラード」を歌っていた頃の僕と同じ年になる。
ほんと、思えばずいぶんと遠くまできたんだなぁ。