破れたコートのインナーに思いを馳せるエコシステム
かれこれ6~7年使っていた仕事用のコートがいよいよ限界を迎えた。
去年から寒い時期にボタンで留めるタイプのインナーの合皮の部分がボロボロ崩れ始めていたが、どうせ外からは見えない部分だしいいやーと思っていたが、さすがにもう限界。やっぱり合皮はダメね。指で軽くひっかいただけで表皮(?)の部分がベロンと剥がれ落ちるほど劣化していたので、いよいよ買い替えを決心した。
長く使うということ
そんなに高くはないとはいえ、買い替えるとなると万はする。っていうかそもそもダメになったのはインナー部分だけで、肝心のコート本体は全く問題ない。それに、このコートは僕好みのわりとタイトなデザインで気に入っているので買い替えたくない。しかし、6~7年前に買ったコートのインナー部分だけ手に入れることはできない。まだまだ寒い時期が続くので、コートの外側部分だけではさすがに寒いので早急にどうにかしなくてはいけない。
一思案。そして
答えはシンプル。インナー代わりになる薄手の「なにか」を用意すればいいだけの話。というわけで買いました、ユニクロのウルトラライトダウンベスト。
寒いなら1枚余計に着込めばいいだけの話。出費も最低限で済んだ。事務所でもたまに寒い日があって会社のジャンパーを着ているが、やたらモコモコしていてあったかすぎるときもある。そんな時にもちょうどよさそうだ。無傷の外側はそのまま使い続ける。これぞエコというものだよ。
エコロジーってこういうこと?
最近、と言っても20年以上になるか。エコロジーとか地球にやさしい暮らしなんてのがいろんなところで聞こえてくる。最近だと「脱炭素」「脱プラスチック」あたりか。基本的な考え方は僕も大いに賛同する。だけど時々、「ん?それは違わないか?」ってことも目にする。
「自然に優しい木製のものを買ったからプラスチック製品は全部捨てました!脱プラスチック!」とか。いやいや、自ら進んでプラスチックごみを増やしてどうする。プラスチックに限らず、今あるものを大事に使うってことじゃないのかな?環境に配慮した原材料を使った商品がどんどん出てくるが、脱プラするために買い替えるってのは何か根本的に間違ってる。これから新たに生産されるプラスチックを減らしていくのが脱プラスチックなんじゃないの?
家電はどうする?
それよりもちょっと難しいのが家電など、電気や燃料を使う製品。科学技術の進歩で昔よりエネルギー効率が格段に良くなったのはわかる。エネルギー効率のいい最新式に買い替えることでCO2削減になります!という論調を特に家電量販店で見かける。たしかにその製品を買って使うことで日々の光熱費が削減されて、結果的にCO2削減につながるのはわかる。
だけどちょっと待て。
例えばエアコンを例にとると、買い替えることで減らせるCO2の量と、そのエアコンを作ることの環境負荷と古いエアコンを廃棄する際の環境負荷は勘案されているのかな??もしかして古い機種を使い続ける方が結果的に発生するCO2の量は少ないなんてことはないだろうか。これについては僕も不勉強なので、あまり断定的なことは言えないが、勉強してみる価値はある。
環境と経済
とはいえエアコンに限らずすべての製品は企業活動によってできているもので、それによって経済が成り立っているのだからすべてを否定することはできない。だけど、声高に「これはエコロジー(環境)な商品ですよ!」と謳っているものにチラチラ見え隠れするエコノミー(経済)に何とも言えない違和感を覚える。さっきのエアコンの例もそうだけど、これは消費者側もどちらかというと「CO2削減」というエコロジーよりも「年間の光熱費が安くなる」というエコノミーが買い替えの本当の理由になっているんじゃないか?(おそらくその時も、節約できる光熱費の総額がエアコン買い替え費用をペイできるかについてまで考えを巡らせていない)
すべてのものをいっぺんにエコロジーなものに変えてしまえば、たぶん今のエコノミーは成立しないと思う。徐々にやっていく他にないんだけど、やはり企業はエコロジーよりもエコノミーを優先する(はず)。だって利益の追求が会社の目的だもの。だとしたらエコロジーに転換していかなきゃいけないのは、まずは我々個人。個人の考え方が変われば企業はおのずとそれを考慮したエコノミーを構築していかなきゃいけなくなる。その結果としてエコロジーへの大転換が進む。そして国の政治がエコノミーとエコロジーのバランスの調整役になるべきなんだけど、日本のみならず今の各国政府はどっちかっていうと口ではエコロジーと言いながら水面下ではエコノミーにだいぶ傾いちゃっている気がするのは、僕の思い過ごしだろうか。
エコロジーとエコノミーが複雑に絡み合うエコシステム、地球。
コートのインナーひとつがきっかけでいろんな「エコ」について考えてみた。