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【おすすめ書籍】現代語訳「学問のすすめ」はすぐにでも読むべき古典的名著を読みやすくした必読書である

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現代語訳 学問のすすめ
福沢諭吉=著、齋藤孝=訳
ちくま新書

 

1万円札の顔でおなじみの福沢諭吉。
慶応義塾を作ったり「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」という超が付くほど有名なフレーズでおなじみの「学問のすすめ」の著者であることは、多くの人がご存じかと思います。では、その「学問のすすめ」を実際に読んだことはありますでしょうか。僕はありませんでした。

「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」というフレーズと「学問のすすめ」というタイトルから、「人間は平等なので、だれでも一生懸命勉強しましょう」という内容かと想像していましたが、読んでびっくり、全然違いました。まずこの「天は人の上に~」の部分。これはこの本の冒頭でいきなり書かれているわけですが、これは単に皆がみな平等であることを言っていたわけではないのです。そのあとに「~にもかかわらず、なぜ賢い人と愚かなな人、裕福な人と貧乏な人、社会的地位の高い人と低い人が生まれるのか。その違いは学ぶか学ばないかにある」と書かれています。生まれた時の基本的な人権はみな同じだが、学ばないとどんどん差がつくぞ。だから学ぶことは大切なのだ、ということなのです。

じゃあ学ぶって何よ?というのがこの本のメインテーマ。この本から読み取れる福沢諭吉は徹底した実学論者で、「実学」とは「実際に役立つ学問」を指します。この本が書かれたのは明治4年~9年の間で、福沢諭吉がまず学ぶべきといったのは読み書きそろばんといった基本的かつ生活にすぐに役立つ学問。和歌や漢文、詩を読むなどといったことは後回し、普段の生活に役立つことを最優先すべきだと説いています。それはまぁ、そうだろうなと思いますが、面白いのはここから。「学問のすすめ」というタイトルから、勉強の仕方について詳しく書いた本だと想像していたのですが、そんな小さな話ではありませんでした。「生き方」について説いた本といった方がしっくりくるほど内容は多岐にわたり、国や政治の在り方、日本国民としてのあるべき姿についても説明しています。日本国民の在り方といっても、単に「愛国心を持て」とか「国に尽くすのが国民の務めだ」といった話ではなく、「国民一人一人が独立心をもって生き、学ばなければよい国は作れない。国民が愚かではよい国は作れない」といった目線で書かれています。また、国民の役割や法の在り方、男女平等、品格についてや妬み・嫉みの愚かさ、人生設計や人付き合いの大切さと心構えなど、およそ「学問」という言葉からは離れているように見える事柄についてもわかりやすく本質をとらえた書かれ方がされており、とても新鮮でした。

本文中では、西洋のことわざや歴史上の偉人の言葉、出来事などが多数引用されていますが、今でこそ年末年始におなじみの国民的歴史ドラマ「忠臣蔵」は熱狂的なファンもいるほどのお話ですが、福沢諭吉は「法治国家において私刑(=敵討ち)は恥ずべき蛮行である」と痛烈にぶった切っています。また、男女平等の章では、孔子や孟子という超が付くほどの有名人の男尊女卑的な言動を取り上げて、強烈にディスっています。過去の偉人だろうが何だろうが、道理に合わないことについては歯に衣着せぬ言動で痛烈に批判する様を読むのは、なかなか面白いものです。

きちんと内容を説明しようと思うととんでもない長さになるので、詳しく知りたい方はご自分で読むことをおすすめします。現代語訳というだけあって、非常に平易な言葉で書かれているため読みやすく、おすすめです。原著はネット上でも無料公開されていますがさすがに読みづらく内容も頭に入りにくいものです。福沢諭吉のいう「実学」を取るなら、難しい言葉で書かれた原著よりも現代語訳を読んでその内容を頭に入れることが大切なのではないでしょうか。文庫本サイズで、解説も含めて250ページ程度なのでさらりと読むことができます。

この本に限らず、古典的名著を読むことは間違いなく大きな学びにつながるのだけれども、原著を読むにはどうしても多大な労力がかかってしまいます。福沢諭吉流に言えば「原著を読むのがかっこいい」という形だけの読書をするのではなく、平易な言葉に訳された現代語訳を読んでその意味をしっかりと身に着けることが大事なのだと感じました。特にこの本は人が生きる上で参考にすべき姿勢について多く書かれており、もっと若いときに読んでおけばよかったと感じる1冊でした。